介護士の心を守る共感疲労対策法

介護士として働く中で、利用者の気持ちに寄り添い、共感することは極めて重要である。しかし、その共感が過度になると、「共感疲労」と呼ばれる心の疲れを感じることがある。共感疲労とは、他者の苦痛や困難に共感することで生じる心理的・身体的な疲労状態を指し、アメリカの研究者Joisonによって1992年に定義された概念だ。これを放置すると、バーンアウトやうつ病につながることもあるため、適切な対策が必要である。

まず、共感疲労を予防するためには、自分の感情を客観的に捉える力を養うことが大切である。感情に飲み込まれず、物事を冷静に見つめることで、心の負担を軽減することができる。また、休息をしっかりと取ることも重要だ。心も体も休める時間を確保することで、ストレスを溜め込まずにすむだろう。趣味やリラクゼーション方法を見つけ、それを日常に取り入れることも、心の健康を保つために効果的である。

仕事でつらいと感じたときは、同僚や上司に相談することも忘れてはならない。一人で抱え込まず、周囲のサポートを受けることで、気持ちが楽になることがある。また、専門家によるカウンセリングを利用するのも一つの手だ。プロのサポートを受けることで、自分の状態を客観的に見つめ直し、改善につなげることができる。さらに、共感疲労を感じたときは、自分に優しく接することを意識しよう。過度に自分を責めたり、完璧を求めたりせず、「今日はここまで頑張った」と自分を褒めることも重要である。

介護士としてのやりがいや喜びを実感するためにも、共感疲労を避け、自分の心を大切にすることが求められる。小さな達成感を積み重ねることで、自己肯定感を高め、心の余裕を持つことができるようになる。心の健康を維持しながら、利用者と向き合えるよう、日々のセルフケアを心がけていくことが、持続可能な介護実践の基盤となるのである。